EC-CUBEとは?機能やメリット・デメリット、導入フローを解説

2024-02-09

EC-CUBEとは?機能やメリット・デメリット、導入フローを解説

誰もがネットショッピングを気軽に楽しむようになった昨今。ECサイトを運営する事業者や、これからEC展開をしようと考えている方に大いに注目されているものの1つに、EC-CUBEがあります。EC-CUBEは無償で使える安心の国産サービスとして成長してきたECオープンソースですが、類似サービスやプラットフォームも数多く存在するため、その特徴をよく知ったうえで導入を検討したいところです。そこで今回はEC-CUBEの主な特徴から、利用できる機能、サービスのメリット・デメリット、導入時の流れに至るまで、ポイントをわかりやすくまとめてご紹介します。

EC-CUBEとは

「EC-CUBE」とは、大阪を拠点とする株式会社イーシーキューブが開発・提供している、オープンソースのECサイト構築パッケージです。ECの運営や管理に適したコンテンツマネジメントシステム(CMS)として設計されており、誰でも気軽に導入、活用できるサービスとして人気を集めています。日本発のサービスであり、国内シェアトップのオープンソースソフトウェアでもあるため、まったくの初心者から一定の実績を築いてきた事業者まで、広く安心して使えるでしょう。他の大手ECサイト構築パッケージは多くが有償ですが、EC-CUBEは無料で使えるという良さもあります。

さらに、コードの改変も自由で高いカスタマイズ性を持ち、多様な販売形態のサイトを容易に構築できるほか、データ資産の活用においても強みを発揮するなど、初めてのネットショップ開設から、ECサイトのリニューアルを伴う事業全般の改革まで、幅広いニーズに応えるサービスとして評価されてきました。ダウンロード数は180万を突破、推定稼働店舗数35,000超、月商1,000万円以上のネットショップのカートシステムとして利用数トップを誇るなど、直近の実績を見ても、その評価と人気の高さがうかがえるでしょう。

EC-CUBEの機能

EC-CUBEは、ECサイトの構築から継続的な運営管理に必要な基本機能まで漏れなく備えています。そのため、思い描くEC事業をワンストップで実現でき、別のサービスと組み合わせて機能整備を行うといった手間がありません。プログラムの拡張性や、有償・無償のオプションおよび関連サービスの豊富さも魅力で、売上向上に役立つ多様な機能を使うことができます。ここでは主な機能を見ていきましょう。

ECサイトの構築・デザイン関連機能

EC-CUBEは、特にサイトの構築やデザインにおけるカスタマイズ性に優れ、特別な知識がなくても、手軽にブランドイメージの向上に寄与するECサイトや、ユーザーが使いやすく買物しやすいショップページを作ることができます。ページ管理機能では各ページのコード編集ができ、マイページやカート周りの機能、お問い合せ窓口のページまで、自在に編集することが可能です。新たにフリーページを追加作成する機能や、ブロック単位でコンテンツを作成できるブロック機能、作成したブロックを各ページに配置し、レイアウトを工夫していくためのレイアウト管理機能もあります。

オリジナルのデザインテンプレートを作成したり、既にあるテンプレートを購入・導入したりできるテンプレート機能の高い利便性も特筆すべき点です。70種類以上のテンプレートから好みのものを選択し自社サイトに取り込むだけで、簡単に基礎を完成させることができます。デフォルトのテンプレートもレスポンシブ対応となっているため、多様な端末での快適なショッピング体験をすぐ顧客に提供可能です。加えて、モバイルファースト時代を考慮し、レスポンシブとは別に、スマートフォンサイト専用のレイアウト設定も行えます。

また、サイトのシンボルイメージとして機能するfaviconもファイル管理から変更・設定でき、ページごとのmeta情報設定でSEO対策を施す管理機能も搭載されています。開発関連機能として、ダウンロード版にはエラーログなど、表示するデバッグモードの切り替えができる機能もあります。さらに、オーナーズストアには、好みに応じて購入・利用できる350種類以上の拡張機能があります。これらの便利で多彩なプラグインを利用すれば、さらに理想のサイトに近づけることができるでしょう。

カート・会員関連機能

売上を左右する重要なカートに関連する機能も豊富にあります。基本的なショッピングカート機能に加え、配送時間や支払い方法の指定、登録済みの届け先とは別の届け先を指定する機能を導入可能です。
また、商品詳細ページだけでなく、一覧ページからも商品を手軽にカートに追加できる機能や、改めてログインした際や別端末でログインした際にカート情報を復活させる情報永続化の機能も搭載されています。
そのほか、買い物に応じてポイントを付与する機能、獲得済みポイントを消費して購入金額に充てる機能は顧客満足度向上につながるでしょう。顧客をファンとして取り込むための会員機能も多彩です。会員ユーザーに情報などを提供する基本のマイページ機能、商品をお気に入り登録する機能、問い合わせ用のフォーム構築機能などが代表的なものです。もちろん、会員登録の煩雑さで顧客を逃すことがないよう、登録不要で購入可能とする非会員購入機能もあります。

商品管理関連機能

ショップを運営するうえで重要な、商品管理業務向けの便利機能も多く備わっています。うまく活用することで、業務の効率化を実現できるでしょう。商品検索や一覧表示、複数の商品画像の一括登録、商品の規格情報の追加・編集といった基本機能のほか、商品情報を階層構造でカテゴリで分類したり、タグの付与を行ったりすることも可能です。商品の詳細ページにおけるフリーエリアの編集や、商品別の在庫情報登録、一度の注文で同時購入可能な商品数の制限設定、商品ごとにキーワード検索項目を登録可能とする機能もあります。商品は個別に管理するだけでなく、公開・非公開・廃止・削除といった状態の変更を一覧画面で一括処理することができ、商品やカテゴリ情報のCSV出力にも対応しています。

店舗及び顧客情報の管理関連機能

EC運営においては、顧客情報の管理や店舗でのデータ処理、施策実施なども非常に重要な業務となります。EC-CUBEは、これらに役立つ機能も充実しています。顧客管理については、各顧客の情報登録や編集に必要な基本機能はもちろん、出荷伝票番号の入力と確認、複数の届け先の登録、各種メールの送信、出荷通知メールの一括送信といった機能が使えます。プラグインの追加によって販売促進や分析機能を強化することも可能です。カート画面でおすすめ商品をレコメンドする機能や、サイト内に売上ランキングを表示させる機能などは、広く人気を集めています。

店舗の受注管理において、現在の受注・売上状態を随時確認できる管理画面上の機能や、受注情報の編集・検索・一覧表示機能、電話やFAXで受けた注文の登録機能、注文の対応状況に応じた現在のステータスを設定する機能などは便利に活用できるでしょう。出荷作業者や配送業者に対するメモや、運営者自身が確認するためのメモなど、ミスを防ぎ、より効率の良い運用を図るための機能も整っています。データ管理面では、納品書のPDF出力や、受注内容・配送情報・顧客情報のCSV出力、出荷日時や問い合わせ番号のCSV登録といった機能が備わっているため、他のツールを併用することなく、スムーズに管理や処理を進められます。

また、店舗管理としては、運営会社の情報に関する設定・編集機能や、特定商取引に関する法律で定められた要件などの記入・編集機能、会員登録時に確認すべき規約の設定にかかる機能、トップページなどで表示させる新着ニュースの編集機能が挙げられます。決済関連では、支払い方法と各方法の手数料設定、購入金額の上限下限といった利用条件の設定、配送料無料とする条件の設定、商品別の税率設定といった機能もあります。購入金額に応じたポイント付与率の設定や、商品ごとに異なるポイント数を設定する機能なども使えます。そのほかに、配送業者と業者ごとの配送料、時間設定を行うための機能、管理画面にログインできる人を決め、それぞれのアクセス権限を管理する管理者登録機能、管理画面へのアクセスにおけるIP制限、URL変更サイトのSSL制限設定など、セキュリティ関連の機能も充実しています。

EC-CUBE導入のメリット・デメリット

多彩な機能を有し、思い描くECサイトを実現できるEC-CUBEは、導入に多くのメリットが見込めるサービスです。しかし、何事もそうであるように、メリットがあればデメリットもあります。慎重に検討するには、双方をしっかり把握しておかねばなりません。

EC-CUBE導入のメリット

■初期コストを抑えて構築できる

オリジナルのECサイトを構築する場合、制作会社に依頼して1からスタートしようとすれば、数千万円クラスの費用が発生する可能性もあります。パッケージ製品を利用するにしても、ほとんどのものが有償で、さらにビジネス特性や規模、イメージに合うようにカスタマイズなどを施すとなれば、膨大なコストがかかってしまいます。

一方、EC-CUBEならば、オープンソースとなっているダウンロード版を無料でインストールして始めることが可能です。クラウド版でも、フルに機能を使えるStandardプランが初期費用7万円、月額49,800円から利用可能と手頃な料金設定になっており、初期投資を抑えてECを始めたい事業者には、大きなメリットがあるといえるでしょう。

■運用コストを抑えてEC運営ができる

構築後の運用面のコストを抑えやすいこともEC-CUBEのメリットです。レンタルサーバーの月額料金やドメインの取得・維持費用、メンテナンス費用などは必要ですが、出費は最小限に抑えられるでしょう。無償のテンプレートやプラグインをうまく組み合わせて使えば、コストを大幅に削減しつつ、充実したECサイトの運用が可能になります。

無料のダウンロード版ではなく、クラウド版を選択する場合は、サーバー保守やセキュリティ対策、メンテナンス関連の費用を個別にかけることなく、最新の安全な環境で運用していくことができます。クラウド版の料金は、販売額に伴う変動制ですが上限の設定もあるため、負担が大きくなりすぎず、中長期的コストの削減を実現可能です。ダウンロード版からクラウド版への切り替えや他社サービスからの移行もサポートされており、規模拡張などのリニューアルやリプレイスの際に発生するコストやリスクも最小限とすることができます。

■自在にカスタマイズできる

カスタマイズ性の高さは、EC-CUBEの大きな魅力です。デザインの自由度が高いことに加え、幅広い選択肢から必要機能を選択できます。さらに、自社でプログラムを開発・追加改修したり、オーナーズストアで提供されている機能拡張プラグインを導入したりすれば、思い描いたECサイトを容易に実現することができます。無料または有料プラグインによる機能拡張は、UX・UIデザイン面から決済、集客、顧客管理、販促など、幅広い分野をカバーしており、独自のブランドイメージやビジネススタイルを大切にしたEC運用を可能にしてくれます。

■日本語対応でサポートが充実、情報コミュニティも豊富

ECサイトの構築サービスは海外製のものも多く、導入・活用するうえで、場合によっては一定以上の英語力が必要となる場合もあります。トラブル発生時のサポートが英語に限られる可能性もあるでしょう。その点、EC-CUBEは純国産サービスのため、日本語でのサポートが充実しています。公式マニュアルも、もちろん日本語です。

また、国内での採用実績が豊富で、日本の市場に合っているほか、開発者や既に導入済みのショップ運営者が参画する開発コミュニティもあり、利活用に関する最新情報が常に共有されています。利用者ブログなども多く、求める情報を日本語での検索で簡単に得やすい状況があります。こうした安心の環境はEC-CUBE導入のメリットの1つです。

EC-CUBE導入のデメリット

■ダウンロード版では一定のスキルや知識が必要

EC-CUBE導入の初期コストを抑えるため、ダウンロード版を選択する場合、インストール自体は無料であるものの、実際にサイトを構築し、運営していくとなると、デザインや管理の仕組みを整えていくためのスキルや知識が求められます。Webデザインやプログラミングの基礎知識がないと、提供されている機能を使いこなせない可能性が高いでしょう。システムエラーへの対応やメンテナンスも、随時自己責任で行う必要があります。

オープンソースのソフトウェアで、高いカスタマイズ性も有している点が強みである一方、セキュリティが脆弱になりやすい懸念もあります。よって、自ら知識を蓄え、別途セキュリティ対策を施していかねばなりません。サイト制作やセキュリティ対策の経験や知識がない状態でダウンロード版を使う場合には、ECサイトの制作業者やセキュリティ・パートナーと別途契約を結び、サービスを使っていくことを考えるべきでしょう。

こうしたダウンロード版のデメリットを回避するには、クラウド版を検討することも選択肢になります。クラウド版であれば、システムアップデートやセキュリティ対策などはEC-CUBE側に任せることができます。単純な利用料金だけでなく、総合的なコストを考え、どちらを用いるか決めることをおすすめします。

■集客・宣伝は自ら実施せねばならない

自社で独自に構築するECサイトは、Amazonや楽天市場といった知名度の高い大手ECモールに比べ、集客力の面でどうしても劣ります。モール側の企画に乗って販促を図るといったこともできません。

EC-CUBEで作るECサイトは、こうしたモールに属さない単独のネットショップになるため、集客面でのデメリットは認識しておく必要があります。加えて、EC-CUBEのデフォルト機能には集客を促すタイプのものがないため、プラグインを利用したり、自社で施策を立てたりして、販促を図っていかねばなりません。効果的な宣伝を行うためにはマーケティングを学ぶ必要性が生じるとも考えられます。一方で、ECモールに出店して運営していく場合には、プラットフォームを利用するための料金がかかるだけでなく、数多くある競合他店との間で価格競争が過熱しやすいといったデメリットがあります。それぞれの強み・弱みを理解し、自社のビジネスモデルともすり合わせて検討を進めることが大切です。

EC-CUBEの導入フローと動作環境

EC-CUBEの導入を決めた場合、どのような手順で進めればよいのでしょうか。流れを事前に理解しておくと、スムーズに進められるでしょう。また、どのような動作環境で利用できるシステムなのかも確認しておく必要があります。ここではクラウド版、ダウンロード版それぞれの導入手順と動作環境について解説します。

クラウド版の導入フロー

EC-CUBEのクラウド版を用いる場合、まずサービスへの申し込み手続きを行い、アカウントを取得します。次に利用する決済方法を決め、管理画面からサイトのレイアウトやデザイン、機能のカスタマイズを進めましょう。基本的な骨格ができたら、販売する商品の登録・設定を行います。購入動作やメール文面などのチェック、基本情報の各種設定を実行したら、ECサイトの公開に進み、ショップをオープンさせます。

ダウンロード版の導入フロー

EC-CUBEのダウンロード版を用いる場合には、以下のような手順で進めます。まず、システム要件を確認し、インストールするレンタルサーバーを用意します。用意ができたらバージョンを確認し、EC-CUBEを実際にダウンロード、インストールしましょう。

決済方法を決め、サイトのレイアウトやデザイン変更、機能追加などを行っていきます。基礎ができあがったら、販売する商品の登録・設定を進めましょう。管理画面で基本情報の登録も行います。続いて購入動作や送信メールなどの設定・確認を行い、正しく動くかチェックします。問題がなければ公開へと進み、晴れてショップのオープンとなります。

決済手段の導入について

EC-CUBEで作成したショップで利用する決済方法については、別途契約を行い、機能を搭載する必要があります。クレジットカード会社や他の決済会社と個別に契約する場合には、審査も含め、1カ月以上のまとまった時間と、ある程度の手間が生じることを考慮しなければなりません。決済を利用可能な状態で開店するには、早めに手続きを進めておく必要があるでしょう。

こうした煩雑さを回避したい場合には、公式決済サービスの「EC-CUBEペイメント Plus」が使えます。GMOインターネットグループのGMOイプシロン株式会社によるサービスで、コストと手間を最小化しながら、豊富な決済手段を一括導入したいEC事業者向けの仕組みが提供されています。導入時のステップが簡便になるだけでなく、運用開始後も入金や支払い管理などに関して効率的な処理が可能となっており、公式サービスなだけあってEC-CUBEとの相性は抜群といえます。こちらのサービスを活用する場合、カード決済も最短1営業日で導入できるなど、低コストかつスピーディに、手間なくECサイトの決済機能を整えることができます。

動作環境について

EC-CUBEの動作環境は、バージョンによって若干異なります。まずは満たすべきシステム要件を公式ページで確認しましょう。最新版の4.2系の場合、WebサーバーではApache(2.4.6)が動作確認済みで、PHPは7.4~8.1のバージョンが対象となっています。PHPライブラリは、必須と推奨の両方の指定についても確認しておいてください。データベースは通常用途で、PostgreSQL(10.x~14.x)とMySQL(5.7 or 8.0)が動作確認済みとなっています。

独自にレンタルサーバーなどを用意し、インストールして用いる場合には、動作環境について特に注意が必要です。動作しないリスクを最小化するために、動作確認済みで、簡単インストールに対応したオフィシャルパートナーのサーバーや、検証済みサーバーを選定することが賢明です。

まとめ

手軽さや充実した機能、コストパフォーマンスやカスタマイズ性の高さなどから支持を集め、高い評価を得ているEC-CUBEについて、基礎知識から導入のメリット・デメリット、ECサイト新設までの流れなど、知っておきたいポイントをご紹介しました。

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