理解しておきたい「掛け率」の基本!計算方法や相場を確認しよう

2024-04-09

理解しておきたい「掛け率」の基本!計算方法や相場を確認しよう

小売の必須知識「掛け率」を徹底解説

卸売や小売を行う企業にとって、商品を仕入れて販売するうえでどれだけの利益を出せるかという点は重要です。商品の原価に対してどれだけの利益を上乗せして販売するか、という判断にも関わります。この際に「掛け率」について知っておくことで、掛け率に基づいた交渉や相場に対する判断ができます。この記事では掛け率の概要と計算方法、掛け率を抑えるための方法について解説します。

掛け率とは?

「掛け率」とは、商品の販売価格に対する卸値の割合を指す言葉です。掛け率は商品を販売する業種にとって重要な用語で、「掛け率◯パーセント」という使い方をします。

店頭やECサイトで販売を行う際に消費者に対して示す価格を「販売価格」または「上代(じょうだい)」といい、製造元・メーカーから仕入れる際の価格は「仕入れ値」または「下代(げだい)」といいます。つまり掛け率は、販売価格に対して仕入れ値が何パーセントを占めているのかを示すものであるともいえます。なお掛け率は実際の流通・販売業界の現場では「5掛」や「6掛」というように表され、5掛は販売価格の50パーセントを意味します。

仕入原価率との違い

「仕入原価率」という言葉も掛け率と同様によく使われる用語です。仕入原価率は、商品を仕入れる小売業者の側から見た、仕入れ値に対する掛け率のことです。意味するところは同じでも、卸売業者から見た場合と小売業者から見た場合で呼び方が異なり、掛け率は卸売業者から、仕入原価率は小売業者から見た場合の言葉なのです。

利益率・粗利率との違い

「利益率」という言葉は、売上金額に対する利益の割合のことを指します。企業で使われる「利益」という言葉には、粗利益・経常利益・純利益などがあります。

このうち「粗利率」については、「利益÷売上金額×100」で計算できます。つまり、販売価格から仕入れ値を引いて求めた利益を売上金額で割り、100をかけてパーセントで表示します。この計算方法によって求められる数字は掛け率とは異なり、利益の部分です。

値入率との違い

「値入率」は、実際に商品を販売する前に算出されるものです。「想定売価」から仕入れ値を引き、それを想定売価で割ったものに100を掛け、パーセントで表します。

この計算によって求められるのは、商品がどれだけの粗利益を出せるのかという想定です。掛け率との違いは、値入率があくまで「想定」である点です。そのため、売れ行きによっては商品の値引きや廃棄などが発生し、想定が変わる可能性があるのです。

掛け率の計算方法

掛け率の計算方法はシンプルです。具体的には、次のような計算式で求めることができます。

掛け率(%)=卸値÷販売価格(上代)×100たとえば、販売価格が1,000円、卸値が500円だとすると、500÷1000×100で、掛け率は50パーセントです。販売価格と掛け率から卸値を求めることもできます。

この場合は、卸値=販売価格(上代)×掛け率(%)÷100で求めます。たとえば販売価格が1,000円、掛け率が50パーセントだとすると、1000×50÷100で、卸値は500円と求めることができます。

掛け率の相場

自社商品の掛け率を考える際に、それが業界・市場の相場と合致しているのかが気になるケースもあるでしょう。
掛け率の相場は公にはされておらず、また必ずしも定まっているわけではありません。しかしながら、大まかな相場として、飲食業界では約40%、アパレルやおもちゃメーカーなどでは約50〜60%、食品業界では約70%、化粧品業界などでは約35〜40%(場合によっては約55%)といわれています。

日用雑貨では商材によって異なる部分もありますが、約20〜30%というケースもあります。
ただし、自社商品の掛け率が相場から外れているからといって、必ずしも取引相手が不当な利益を得ていると決められるものではありません。掛け率には取引先企業との関係性が影響することはもちろん、それ以外にも季節やトレンド、流行などの要素が複雑に関係するのです。

掛け率を抑えるためには?

掛け率(仕入原価率)が高い場合、それだけ販売価格に占める仕入れ値の割合が高いということです。つまり掛け率が高くなると、その商品は同じ価格で販売する掛け率の低い商品と比べて、利益を出しづらいということになります。そこで以下には、掛け率をできるだけ抑えるために小売業の企業ができる対策について解説します。

取引先と交渉する

掛け率は基本的に、消費者に販売する小売業者と取引先である卸売業者との間での交渉によって決定されます。そのため、取引先との交渉次第では掛け率を下げられる可能性があるのです。

取引先との関係が軌道に乗ってきたタイミングや、取引先が新しい商品の販売数を伸ばしたいといった事情を抱えているタイミングでは交渉がしやすいでしょう。また、仕入れの商品ロット数を増やすことなどを交渉材料として提案することも有効な手段です。

メーカーからの直接仕入れを行う

消費者が小売業者から商品を購入する際、通常はメーカーから卸売業者、卸売業者から小売業者という段階を経て商品を手にします。小売業者としては、卸売業者を介することでさまざまな商品をまとめて仕入れることができる反面、卸売業者に支払うコストを販売価格に転嫁せざるを得ないという面もあります。

掛け率の高い商品は、その意味では卸売業者に支払うコストが高い商品であると表現することもできるでしょう。そのため、メーカーから直接商品を仕入れることができれば、中間業者である卸売業者に支払うコストが不要になり、掛け率を下げて利益率を改善することができるケースがあります。ただし、卸売業者としては、小売業者がメーカーから直接商品を仕入れることを快く思わないケースも当然に考えられます。卸売業者との関係悪化リスクがあることを念頭に、慎重に決断することが重要です。

訳あり商品の仕入れをする

シーズンオフの商品や、メーカー倉庫で長期在庫化しているような「訳あり商品」の仕入れは、掛け率を下げるうえで有効な手段となるケースがあります。これらの商品は、卸売業者としても通常の掛け率で商品を卸しにくいという心理が働くため、小売業者の掛け率の意向をある程度反映してもらえることがあるのです。

相見積もりで仕入先企業を選ぶ

取引する卸売業者を選定する際に複数の業者から相見積もりを取ることで、掛け率を比較検討することができます。複数の業者が同一の商品を扱っているケースでは、この方法が最も効率よく掛け率を下げることにつながるでしょう。ただし、取り扱う商品を卸している業者が少ないというケースでは、期待したような成果を挙げられないこともあります。

まとめ

この記事では、流通・小売業の企業が自社の商品の販売価格・利益を算出するのに役立つ「掛け率」という用語について、意味や相場、掛け率を抑えるための方法について解説してきました。

掛け率という用語自体は一般的に使われる用語です。実店舗を持つ業者もEC事業者も、どれくらいの掛け率で商品を卸すか、またはどれくらいの仕入原価率で商品を仕入れるかを意識することは重要です。

掛け率はEC事業者が自社の意向だけで決められるものではありませんが、掛け率・仕入原価率の存在を意識しつつ競合他社や市場の動向を考慮することや、状況に応じて掛け率の交渉を行うなど、利益を最大化するための戦略が重要です。

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